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所属部門や 担当するプロダクト・サービスに囚われる怖さ

【VOICEs - 社内インタビュー】サイオスのキーパーソンが登場するシリーズ企画。トップバッターは、当社常務執行役員の岩尾昌則 第1事業部長です。様々なプロダクトやサポートサービスを提供する複数の事業を統括する日々の中で、どんなことを感じ取っているのでしょうか。記事をご覧ください。

ピープル2015年5月11日

波乱含みのサイオス北京立ち上げ

2010年から2年半ほど、北京で暮らしていました。サイオスの中国法人、赛欧思(北京)科技有限公司は、IT企業が集積する北京市内北西部の中関村という地域の一角にあります。私の任務は、その現地法人の販路開拓でした。現地で一から中国のパートナー企業を見つけ、販売先を広げました。2008年5月の四川大震災以降、中国市場でもシステムの信頼性向上や事業継続に対する関心が高まり、HAクラスターソフトウェア「LifeKeeper」やデータレプリケーションソフト「DataKeeper」の需要がにわかに盛り上がっていました。

私にとっては中国を訪ねるのも、その時が人生二回目でした。知っている中国語はニイハオ、シェイシェイ、ザイツェン(再見)の3つだけでした。さすがに赴任前にある程度言葉を勉強してからと思っていましたが、業務の引継ぎなどに追われ、気づけば機上の人となっていました。中国で生活しはじめてからは買い物をするのにも苦労の連続でした。全く話せないのに、通りで道順をよく尋ねられ、お互い顔を見合わせるような場面が何度もありました。あちらの人は人見知りせず、とにかく、よく話しかけてきました。

B1_3.jpgどうにか、中国語にも慣れてきた頃、中国で大規模な暴動が起こりました。尖閣諸島を巡る反日デモです。2012年9月のことでした。私はたまたま事件の1週間前、家族ともに日本に帰任していて日本の報道でそのことを知りました。ただ、大事な商談が控えており、事件の2日後には再度私だけ北京に出張する予定となっていました。

日本から北京に向かう飛行機の席はガラガラです。北京の空港に到着し、外でタクシーを待っていたところ、向こうから中国人と思しき若者がこちらに向かってきました。「これは、まずいな」と冷や冷やしていると彼は中国語で「火を貸してください」といいました。黙ってライターを差し出すと、自分のタバコに火をつけて、嬉しそうに礼を言って去っていきました。中国北部は比較的大柄な人が多いので、私を勝手に中国人だと勘違いしてくれたのでしょう。下手に喋らず黙っていたのが良かったのかもしれません。

その後も、日本と中国の間で色々ありましたが、2014年3月までは、月に一度は北京に出張をしていました。中央政府の意向・思惑が強く働く中国市場で外国企業が自社製品を浸透させるのは一筋縄ではいきません。各方面と粘り強く交渉し、少しずつ販売ネットワークを拡げてきました。楽しいこともありましたが、ずいぶん揉まれた貴重な経験でした。

OSSサポート、ソリューションをワンストップで提供する

現在、サイオス北京は後任の役員にバトンタッチし、私は日本のいくつかの部門を統括しています。プロダクトの開発・販売を柱とする4つの事業(RedHat事業、BC事業、OSS事業、SIOS Apps事業)を扱う第1事業部および、国内の関西・中部・九州地区をカバーする地域営業部です。また、営業アシスタント、営業事務、営業企画の業務を統括する営業企画部の担当もしています。

当社の顧客は100社を超えるパートナー企業各社様、そして、その先でビジネスを展開するエンドユーザーの皆様です。サイオスの各事業のシナジー効果を出すことが、お客様に価値を提供することになります。そのために必要なのは、サイオスの事業組織に横糸を通すこととなります。お客様から見ると同じ「サイオステクノロジー」なのにソリューションの提案が各事業ごとにまちまちではいけないと思っています。弊社の強みであるOSSをキーワードに、「ワンストップ」でソリューションを提供していきたいと思っています。

振り返ると2004年7月、私がサイオスに入社したのは、東証マザーズに上場するちょうど1カ月前のこと。まだ社名もテンアートニの頃でした。当時は最新技術であったJAVAとLinuxの技術に精通したエンジニアが多く集まっていたベンチャー企業でした。私はそうした中で、前職までの営業経験を生かして、上場後も安定した業績を維持できるように営業・マーケティングの基盤づくりを任され、進めていきました。

当時はすでに米国RedHat社とビジネスパートナー契約を締結しておりRed Hat Enterprise Linuxの販売・サポートを手がける事業が軌道に乗り始めていました。それをベースとしながら、リコー製複合機で文書管理を推進するSIOS Applications事業や、事業継続を支えるBC事業、数多くの種類のOSSをサポートするOSS事業などを拡充してきました。この10年で、OSSの価値は広くお客様に認めてもらえるようになったと思います。トヨタ自動車様のように製造を支える中核システムでOSSを積極的に導入し、ビジネスの成長に活用される事例も増えています。また、オンプレミスから仮想化基盤やクラウドへ移行する事案も急速に伸びるなど、最近は特に時代の変化を感じています。

オープンかつ多様な連携・協業がもたらす価値

弊社もここ1〜2年ですがようやく会社としての体裁が整ってきたなと感じています。
その一方で規模も大きくなった今は、社員同士お互いの顔がいつも見えた設立間もない頃の風通しの良さを懐かしく思うこともあります。知らず知らずのうちに会社の中が、部門や、プロダクト・サービスの単位で縦割りになっている事も否めません。最近、入社された社員の方たちは、所属する部門の方針や担当するプロダクト・サービスのことのみで目一杯になりがちです。

大切なことは、「お客様の視点に立とう」というホームポジションの再認識です。「新たな価値創造とその提供」「革新的なソフトウェア技術の追求」といった理念の先にあるのは、パートナー企業やエンドユーザーといったお客様です。「サイオス」としてどんな価値をご提供するのか。そのためにはまず、社員一人ひとりが発想を変えていかなければなりません。それがSIOSの「I」に込められたInnovativeにもつながると思っています。部門やプロダクト・サービスの枠を超えた、多様な連携や開かれたコラボレーションが新たな気づきやシナジーをもたらします。そのことを改めて教えてくれたのは、中国への赴任生活に他なりません。

日々、様々な接点を通じて集まるお客様の声をしっかり受け止め、その期待に応えながら、サイオスが次の成長ステップに入っていけるようにしっかりとした土台を作りたいと考えています。

プロフィール

岩尾昌則
常務執行役員
第1事業部および地域営業・営業企画部など110名を率いる。学生時代はアメフトでならしたが最近の趣味はもっぱらゴルフとウサギの飼育。

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(取材/2015年3月)