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目標管理手法やタスク管理ツールだけでは捉えにくい仲間の「貢献」を共有する文化を作りたい

リモートワークではお互いの顔が見えづらく、社員間でのコミュニケーションが減りがちです。不安や孤立感などのネガティブな気持ちを和らげて組織への愛着を高めるよい手立ては--。サイオステクノロジーのBC&CSサービスラインでは、新たな試みとして「”いいね!”を探せ企画」を立ち上げました。

ピープル2021年5月17日

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BC&CSサービスライン 井上敬通さん    BC&CSサービスライン 後藤啓さん
開発エンジニアとして、LifeKeeper製品の開発をメインに手がけています。モジュールの開発やテスト、サポートチームなどから上がってきた問い合わせへの回答および各種ドキュメントの整備、米国のグループ会社 SIOS Technology Corp.(STC)とも連携を図り業務を進めています。

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BC&CSサービスライン 雪島洋樹さん    BC&CSサービスライン 吉田嘉子さん
営業チームのメンバーとして、お客様からの問い合わせやお見積りのご依頼に対する対応および、担当するパートナー企業とともにお客様の課題解決に向けた施策の検討やパートナー企業経由の案件対応などを担っています。

「"いいね!"を探せ企画」を実施したのは、お客様の事業継続を支えるソリューションの提供やクラウドリフトを支援するサイオステクノロジーのBC&CS(Business Continuity & Cloud Service)サービスライン(以下、BC&CS SL)です。

こちらのサービスラインではDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、テクノロジーやデータを活用した業務そのものの変革と、組織の体質や文化の変革に取り組んでいます。取り組みを推進するのがDX Committeeです。発足したのが2020年11月。メンバーがいきいきと働ける職場づくりに向けてどのようすればよいか、業務の合間を縫って有志が検討を重ねました。その中で出たアイディアが、サイオステクノロジーの社員が目指す5つのバリュー「SIOS Values 2.0」(創造、情熱、コミットメント、誠実、チームワーク)に基づく活動で、かつ「目立たない、目に見えにくい心遣いや貢献などへの感謝を目に見える形で伝えよう」という「"いいね!"を探せ企画」でした。

本企画のねらいは、目標管理手法であるOKRや、タスク管理ツールだけでは見えにくい1人ひとりのアクションに光を当てることです。メンバーへの感謝の気持ちや組織への愛着を確認したり、またリモートワークで陥りがちな不安や孤立感を和らげたりすることを目的にしました。

BC&CS SLのロールは大きく営業、マーケティング、エンジニアという3つに分類されますが細かく、「DevOps Engineer」「Customer Development & Digital Sales」など10以上のロールに分かれています。社員は複数のロールを兼務することもありますが、本企画にはロール間の垣根を超えた交流を促す意図もありました。

投票は2週間おきに行われます。オンライン上に用意したGoogleフォームに、「いいね!」という気持ちを送りたい相手の氏名とその内容をコメントします。1回の投票につき投票できる相手の数は最大3人まで。なお、2週間おきというタイミングは、アジャイル開発におけるスプリントの期間を目安にしています。

本企画には、正社員や契約社員だけでなく、日ごろ開発やサポートなどプロジェクトでお世話になっている派遣社員や社外の業務委託先も大切なメンバーとして参加してもらいました。参加者は総勢約70名です(役員を除きます)。

こちらに実際に投票されたコメントから一部抜粋して記します。
  • 問題を改善したいという姿勢が見えるから
  • 疑問点があれば、自らアクションを起こし、周りを巻き込んでいく姿に心を打たれました
  • 日々の業務をこなしながらも営業のために協力をいただき、一体感を作ろうとしているため
  • いつも素早く対応いただき、ありがとうございます
  • 思ったことを率直に伝えている(いろいろな場面で他のメンバーを助ける動きに感謝です! これからもよろしくお願いします。気にかけていただきありがとうございます 等)
  • 多くのことに積極的に関与しているため

集計後、投票されたコメントは匿名のまま、参加者の間でオープンに共有されています。「私も投票し(ようと思っ)た人に、ほかの人も投票しているんだな」といったことがわかります。

初めてのリモートワークを経験した新卒社員に聞く「"いいね!"を探せ企画」の感想

―― 本企画に参加した社会人1年目の4人に話を聞きます。まず、第1回目の緊急事態宣言(2020年4月)のなかで始まったリモートワークはどういう印象でしたか?

井上 先輩や同僚の顔と名前がまだよくわからない中で開発チームに配属されて仕事をはじめたときは正直不安がありました。また、慣れないWebミーティングツールの扱いに最初は戸惑いました。

後藤 リモートワークそのものにはそれほど違和感はなかったです。ただ、社内でお互い顔が見えるところで仕事をしていれば、技術的にわからないことがあるとき近くにいる先輩に尋ねに行ったり、先輩がこちらに声をかけてくれたりすることもあるだろうな、と思うことはしばしばありました。

雪島 パートナー様との顧客向けの施策の検討などで定期/非定期のWebミーティングは頻繁にあります。とはいえ、Webミーティングだと相手の方やその場の雰囲気を感じ取りながらの会話は簡単ではありません。初めてオンラインでご挨拶する方とのやりとりには難しさを感じることがありました。

吉田 製品に関するお客様を交えての勉強会などは会場にお集まりいただくのではなく、リモートでのウェビナー形式で行われます。名刺交換をする機会がないため、自分の顔と名前を覚えてもらうのに時間がかかるように思いました。

コメントをもらうと率直に嬉しい

―― 本企画では、誰に対して「いいね!」という思いを伝えましたか?

吉田 私はSlack(チャットツール)や電話での相談だけではなく、しばしば30分間程度の1 on 1ミーティングをロールの先輩にお願いしてセッティングしてもらい、こちらから積極的にいろいろ尋ねたりお話を伺ったりしてきました。また、お客様の問い合わせ内容が製品概要ではなく技術的に踏み込んだ内容だったときには、エンジニアの皆さんに教えてもらうこともありました。入社以来、ロールを問わずさまざまな方にとてもお世話になっており、そうした方に「いいね!」をしました。一度に投票できるのは3人までですが、それでは足りないな、もっと「いいね!」をしたい人がいたのに、という期間もありました。

雪島 先輩からお電話をもらったときにした、たわいもない会話などは、気持ちがほぐれてありがたかったです。感謝を伝えるつもりでその先輩に投票しました。

後藤 調べ物をしていてわからないことがあったとき、Slackで質問すると迅速に答えてくれる人がいてとても助かったので、投票しました。2週間に一度行われるスプリントレビューでは参加される別のロールの方のお話をしっかり伺って、その中から良いところを見つけて積極的に投票するように心がけました。

井上 会議などでメインのプレゼンをする、というような業務上での表立った活躍も大切ですが、本企画の趣旨に沿って、地味で目立たないけれども積極的に貢献している、業務上指示されなくても主体的に行動している方に意識的に投票しました。たとえば、あるオンライン会議で、特にどのロールにも当てはまらないけれども誰かがやらないといけない事項があり、誰がやるか、といった場面でロールに関係なくても率先して手を挙げたり、議論が前進する提案をしたり、といったアクションに一票を投じました。
 
―― 逆に、自分がほかのメンバーから、「いいね!」というコメントをもらってどんな感想を持ちましたか?

雪島 自分を客観的に見てもらい、こういうコメントをもらう機会はなかなかないので、率直に嬉しかったですね。

吉田 私も自分がやってきた仕事や取り組みを評価してくださった方がいて嬉しかったです。たとえば「コミュニケーションを積極的に取ろう」と意識的に取り組んできたことを、特にロール外の方がコメントしてくださったときには、見てくれているんだな、やってきてよかった、という気持ちになりました。

後藤 開発チームでは、新規の開発やテストに関して、やるべきタスクがツール上に一覧化されていて開発者が自主的に手を挙げて担当する仕組みになっています。入社したばかりの私には未経験のタスクがたくさん並んでいましたが、経験値を高める上で積極的に取り組むようにしていました。同じ開発チームのメンバーからもらったコメントを通じて、そのことを見てくれている人が周りにいるんだ、と思ったことがあります。タスクを取りに行こう、というモチベーションにもなりました。

井上 私は今回の企画メンバーの一員でもありました。それにより、多数のメンバーが集まるオンライン会議で発言することが増え、そのことを評価してくれた方もいました。とても嬉しい反面、会議などで目立つ人ほど「いいね!」が集まるシステムは、「見えにくい貢献」に光を当てるという本企画の趣旨とちょっと異なってしまうな、ということも感じました。今後の改善点の1つとしてDX Committeeで提案したいですね。

コメント形式の投票は感謝の気持ちを伝えやすい方法の1つ

リモートワークではなく、オンサイトで仕事をしていても、相手に面と向かって直接、口頭で感謝を伝える、というのは照れくささや恥ずかしさがありますよね。また、その場でパッとうまい表現が思い浮かばないかもしれません。定期的に実施するコメント投票は、感謝する方も気軽に思いを伝えられる方法であることが、今回の企画から見えてきました。また、よりよい施策にするための気づきやヒントなどの収穫もたくさん得られました。

サイオステクノロジーでは、このような社内活性化に向けたさまざまな取り組みを継続・発展させています。皆さんも「見えにくい貢献」を共有する文化を作ってみませんか? 本記事が参考になれば幸いです。