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柔らかな物腰にゆるぎない信念。スムーズなハンドルさばきで精鋭部隊を動かす──株式会社グルージェント 代表取締役CEO 鈴木 都木丸

【サイオスグループ役員インタビュー】多彩な顔触れが揃うサイオスグループの経営陣。その人柄を通して、サイオスグループの魅力をお伝えするシリーズ企画。今回は、株式会社グルージェントの代表取締役 CEO 鈴木都木丸にその経営理念や信条を聞きました。

ピープル2020年7月30日

創業者からバトンを受け、少数精鋭のトップへ

鈴木が株式会社グルージェント(以下、グルージェント)へ入社したのは2000年の夏。インターネット黎明期、いわゆるパソコン通信"NIFTY-Serve"の技術フォーラムで知り合った栗原 傑享(前:グルージェント 代表取締役社長CEO)が、独立系SI企業のシステムエンジニアだった鈴木に声をかけたことがきっかけだった。
「入社当時のグルージェントは社員5名ほどでしたが、15名くらいの時期になっても全員が世の中の上位30%に入る優秀な人材であるという自負がありました。そのような精鋭集団はなかなかありません。一方で、そのレベルの人材だけで100人、1,000人の規模にするには無理があるため、『グルージェントという集団は、どう在るべきか?』と議論を重ね、少数精鋭で今ある技術力を活かすプロダクトやサービスを作ろうと、自社サービスの開発に注力することにしました。会社として転機が訪れたのは、2008年のサイオスグループ参入とGoogle App Engine*の登場ですね。Google Appsを中心としたクラウド・インテグレーションの提供を当初予定していましたが、お客様の要件は類似するものが多く、パッケージ販売に対する市場ニーズがあるのではないか、と考えました。それが現在の主力製品・サービスである『Gluegent シリーズ』開発のきっかけです」(以下、会話引用部分は鈴木談)

2014年には、創業者である栗原から引き継ぐ形で代表取締役CEOへと就任した。
「CEO就任当初は『どうしたものかなぁ』と(笑)。経営者のタイプにはいろいろありますが、栗原は車で例えると、アクセルを踏むタイプだと考えています。私の場合、どちらかと言えば、ハンドルとブレーキをコントロールしながら向かうタイプでしたので、栗原の築いてきたグルージェントの文化やビジョンを私なりにどのように示していけば良いかは少し悩みました。今でも、自分でアクセルを踏むよりも『アクセルを踏め、踏め』とメンバーの背中を押している感覚が強いですね。また、メンバーからの相談には、方向が正しいのか間違っているのかを即座に判断して『どんどん行け!』『もっとこうした方が良いのでは?』と、状況に応じた助言を心がけています。メンバーのエンジンにガソリンを注ぎながら、方向指示器を出す役目を通して、グルージェントという車を動かしています」

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株式会社グルージェント 代表取締役 CEO 鈴木 都木丸

進むべき道を指し示し、社員を信頼して任せる

経験のないCEOを引き継ぐにあたり、どのような思いだったかを鈴木に訊ねた。
「当時、栗原とは本当に毎日よく話をしていました。グルージェントがどのような会社であるべきか、グルージェントにとって何が是で何が非なのかという共通の価値観があり、栗原の考えが手に取るように分かっていました。何事もストーリーが大事です。まずは本質を見極め、何のために行うのか、真の目的は何なのかを常に問うようにしていますので、会社運営に迷いが生じることはありません。
そういった意味で最近では、『作業ではなく仕事をしよう!』という表現を使っています。人は、つい与えられた作業を"こなして"しまいがちです。そうすると、仕事の本質から逸れて何のためにやっているのかを見失い、作業自体が目的となり非効率に陥ることがあります。また、今は最善だと思う方法でも3カ月後、1年後には別の方法が最善になる場合もあります。作業に埋没すると、本来の目的を見誤ってしまいがちですが、"仕事"をしていれば本来の目的が何かを見失うことはありません。ビジネスに対する考え方は、通常の業務でも会社経営でも、共通して重要だと思います。また、社員に対しては、必ず目的を明確に示すようにしています。目的を明確に示すことで、苦労や難題も必要な過程なのだという共通認識を持つことができますから」

グルージェントの運営について鈴木は、エンジニアが嫌がることは徹底的に行わないよう心がけてきたと言う。
「基本的にエンジニアは命令や管理されることが苦手で、日常的に利用するパソコン等、マシンのスペックが低いことが許せないですね。ですから、命令や管理を最小限にし、マシンのスペックも満足して貰えるものを用意しています。また、エンジニアがのびのび働けるように、新技術の研究に対する投資も惜しまず行っています。現在の在籍社員は30名ほどで、中途入社が主ですが、非常に優秀で個性が強いメンバーが集まっており、ほとんど管理の必要がありません。何も言わずとも、皆きっちり成果を出しています。エンジニアは非効率を嫌うので、目的さえ明確に示せば、常にベストな手段を選択・提案してくれます。私はゴールを指し示し、あとは待っているだけでよいのです」

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知的で落ち着いた語り口に、芯の強さが垣間見える

互いにリスペクトし、磨き合える現場づくり

鈴木自身がビジネスにおいて最も留意しているのは、多くの人から意見を聞くことだと言う。
「私が自負する最大の能力であり長所は、『ポイントを瞬時に押さえる』ことです。世の中複雑なことが多いですが、要点さえ掴めば、あれとそれを組み合わせたら解決するのではないかと答えを導き出し、即座に解決できます。人の話の中にはさまざまなヒントやアイデアが潜んでいます。プライドや思い込みに邪魔されないように、聞く耳を持つよう努めています」
サイオスグループの中でも特にグルージェントは、社員間の信頼関係が厚い。
「私の流儀では、仕事仲間は『友達』になる必要はないですが、お互いに敬意を持って丁寧に接するべきだと考えています。グルージェント社内では、上長も部下もベテランも若手も、誰でも『さん』付けで呼び合い、何かをお願いする際には『~をお願いします』と敬語です。また、何か問題が生じた場合には、誰かの責任を問うのではなく課題解決の策を練ることに注力し、個人対個人にならないよう事象に焦点を当てています。あるエンジニアが『(私の組織は)過激な発言をしても、それで自分自身への信頼を損ねる心配はない』とブログに書いたことがあります。少々的から外れた発言をしたとしても、本意を酌み取ってもらえるという、相手に対する信用と積み上げてきた関係性に自信があるからでしょうね。どのような意見であっても、安心して発信できる社内の空気作りはできていると思います」

ワクワクする会社を目指して

最後に、グルージェントが目指すイメージについて、鈴木に聞いた。
「働いている社員もそうですが、外部から見ても『グルージェントがやることは面白そうだ』と、常に期待される組織でありたいですね。そのために、ワクワクするために何が足りないのかを、常に考えるようにしています。人生の約3分の1は仕事に費やしますので、せっかくなら飽きずに楽しく働きたいと思いますから。ベテランになると、良くも悪くも失敗しない道を選択しがちですが、グルージェントの社員には、いつもワクワクしつつ、チャレンジングであって欲しいです」と、微笑んだ。

* Google App Engine:Google LLCが提供するクラウドサービスの一つで、同社が運用するサーバ環境でWebアプリケーションを公開することができるもの。Google Cloud Platform(GCP)のサービスの一つ。

【鈴木 都木丸(Suzuki Tokimaru)'s Private Life 】

オーディオ、水泳、ドラマ、映画.....とさまざまなマイブームがあったが、最近は専らYouTube視聴。きっかけは、オリエンタルラジオの「中田敦彦のYouTube大学」。時間があれば、中田氏の独特な世界観に浸る。一方、長年にわたりPerfumeファンという意外な一面も有する。「2020年2月の東京ドームLIVEは、会場に向かおうとした矢先に中止が決定しました。残念でしたねと、社員にも慰められました。新型コロナウイルスが早く終息して、またLIVEに行けるようになりたいですね」

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