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〔Vol.1〕HAクラスターシステムの構築効率と運用性を高めるLifeKeeper for Linux v9.1

【VOICEs - 技術解説インタビュー】HAクラスターソフトウェア「LifeKeeper for Linux」がバージョンアップしました。開発元のサイオステクノロジーBC事業企画部BC事業企画グループの五十嵐久理、小野寺章が新機能やソリューションについて答える連載記事の1回目です。

テクノロジー2016年6月29日

膨大なシステム群を監視・保護の対象に加える

― 今回のバージョンアップの背景を、まずは聞かせてください。

五十嵐:「v9.1」と記されているように今回は、2015年9月にリリースされたLifeKeeper for Linux v9(以下 v9.0)で掲げられたコンセプトを継承する形で行われたマイナーバージョンアップです。v9.0は、サーバー管理ツールChefによる構築の自動化やVMware vSphere6への対応といった機能強化により、大規模な仮想化環境におけるHA(High Availability)クラスターシステム構築の効率化や運用面での安定性、というエンタープライズITに求められるミッションを支えるコンセプトで開発されました( ⇒参考記事:「LifeKeeper戦略説明会2016を開催」)。

― v9.0ではそのコンセプトに、"DevOps/Infrastructure as Code"への対応 が打ち出されました。

五十嵐:その通りです。ボーダレス化が加速する中で、ビジネスチャンスを逃さないためには、膨大なデータの利活用などICTの活用が欠かせません。例えば、先進的な企業群においては、各種サービスやそれを支えるアプリケーションを短時間に開発・テスト~本番環境に実装し、運用フェーズに移行する手法がすでに一般化しつつあります。

それは同時に、数多くのアプリケーションの停止時間の短縮、可用性の向上は経営課題として重要度を増していることを意味しています。ある大規模なECサイトでは、わずか0.1秒間システムの動きが遅延すると売上が1%減少する、と言われるそうですが、万一システムに不具合が生じてその間サービス停止すれば顧客や取引先に損害を与えてしまうことになりかねません。ビジネスの広域化と国際化、スピードアップ、そして経営における信頼性の確保がますます重要になっています。


サイオステクノロジー BC事業企画部 BC事業企画グループ グループマネージャー 五十嵐 久理

― システムも大規模化していますね。特に、仮想環境やクラウドの普及により、システムを必要なタイミングで立ち上げたり、停止させたりする作業自体がこれまで以上に容易になってきました。

五十嵐:仮想マシンの数が物理マシンに匹敵する、もしくはそれを凌駕するレベルで急速に増えています。しかし、それらのシステムをユーザー側の要求に応えて、「いつでも使える状態に保つ」「何かあったときにビジネスに与える影響を最小限に抑えた対応を行える」ことが、エンタープライズITを開発・運用する上で大きなミッションとなっています。

こうしたミッションに応えるべく今回リリースされたのが、LifeKeeper for Linux v9.1です。v9.0のコンセプトを継承しつつ、新たに2つの機能が強化されています。

大規模クラスターシステム構築と運用の課題を解決

―「LifeKeeper for Linux v9.1」の2つの新機能について教えてください。

小野寺:1つめの機能が、「Quick Service Protection」です。これはクラスターシステム構築における容易性を追求した新機能です。一般にHAクラスターソフトウェアでは、HAシステムの構築フェーズにおいて経験と専門的なスキルが求められるスクリプト作成が必要です。それが不要になることで、クラスターシステムの環境作成に要する工数削減、およびクラウド環境におけるシステム展開をスピードアップすることが可能になります。


サイオステクノロジー BC事業企画部 BC事業企画グループ エバンジェリスト 小野寺 章

2つめの機能が、「LifeKeeper APIs」と呼ぶ、外部システムからLifeKeeperの状態を参照することができるAPIです。例えば、お使いの統合運用管理ソフトウェアから、このAPIを呼び出してLifeKeeperの稼働状況を監視することで、統合運用管理ソフトウェアでLifeKeeperを含めたシステム全体の一元的な監視が可能になります。

これらの機能については、次回以降、詳しくご紹介します。どうぞ、ご期待ください。

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