アーキタイプベンチャーズ福井氏に聞く、B2B Techの最新トレンドとAI時代の開発手法
2026年1月20日、サイオスグループは新年のスタートを飾るキックオフミーティングを開催。独立系VCアーキタイプベンチャーズの福井俊平氏をお招きし、最新の投資動向やB2B領域のビジネス環境など、ITビジネスの未来について当社経営陣と語り合った対談の様子をお届けします。
カルチャー2026年2月19日
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写真:左から、サイオス株式会社 代表取締役社長 喜多伸夫、アーキタイプベンチャーズ株式会社 Managing Partner 福井俊平、サイオス株式会社 取締役 森田昇
アーキタイプベンチャーズが掲げる「3つのフォーカス」
2013年の設立以来、一貫して日本のスタートアップを支えてきたアーキタイプベンチャーズ株式会社。
対談の冒頭、Managing Partnerの福井俊平氏は、同社の戦略を3つのキーワードで解説しました。
- B2B Tech
創業時より日本初の「B2B Tech特化型」として、テクノロジー領域に特化した投資を継続 - Seed Plus
プロダクトはあるが売上がこれからという、「With Product, Without Revenue」のフェーズを重点的に支援 - Value-up
単なる資金供給にとどまらず、事業構築や専門的な知見に基づいた支援を行い、企業価値の向上に貢献
「展示会への回帰」と「AIによる開発の変革」
対談は「B2B領域で知名度を高めるための有効な手法は?」という問いから始まりました。
「実は今、最もコストパフォーマンスが良いのは展示会です」
福井氏から飛び出したのは、意外な回答でした。
コロナ禍を経て、リアルな展示会には熱量が戻っていると言います。特に、エンタープライズ(大企業)向けビジネスでは、デジタルマーケティングを駆使する以上に、対面での名刺交換や対話が商談獲得などの成果に直結しているという指摘に、喜多と森田からは驚きの声が上がりました。
一方で福井氏は、プロダクトそのものがバイラル(口コミ)で広まっていく「PLG(Product-Led Growth:プロダクト主導型成長)」の設計も、欠かせない要素になると付け加えました。
AI時代、SIerやITベンダーが提供すべき価値とは
「仕様書通りに作るだけではない、真にユーザーに喜ばれるシステムとは何か」という問いに対し、福井氏は「ウォーターフォールの復興」というキーワードを挙げました。
これまで膨大な時間とコストを要したウォーターフォール型の開発ですが、生成AIを活用することで、仕様書の作成からテストケースの策定、さらにはテストケースを通るようなコードの生成までを圧倒的なスピードで完結できるようになります。生成AIに「テストドリブン」な開発を任せることで、ITベンダーは「顧客との対話」に時間とエネルギーを注げるようになり、よりクリエイティブな開発に取り組むことができるようになると、福井氏は説きます。
投資のプロが見る「やり抜く力」
「印象に残るピッチは?」という問いには、「その課題は自分が解決するんだ」という強い思いに溢れたピッチを福井氏は挙げます。
市場環境が激変しても最後までやり抜く力(GRIT)の源泉は、ある種のエゴ(執着心)です。エゴやガッツがないと、苦しい状況のたびに方針転換を繰り返し、結局どこにも辿り着けなくなってしまうからです。
「この人ならやり抜けるという人には心が揺さぶられますし、投資には至らなくとも、アドバイスは絶対にしたいですし、実際にします」という福井氏の言葉からは、起業家への敬意が感じられました。
日本のB2B Techが向かう先
対談は、現在の投資環境や市場予測についても意見が交わされました。
昨今の東証グロース市場上場維持基準における時価総額の厳格化など、スタートアップを取り巻く環境は変化の時を迎えています。しかし福井氏は、これを「事業そのものに集中する『本質』が問われる良い機会」と、ポジティブに捉えています。
さらに、創業当初よりグローバル展開を前提とした「Born Global」なスタートアップ、エネルギー領域やディフェンス(防衛)テックなど、日本が持つ高い技術力を生かしたスタートアップについても話が及びました。
技術がどれほど進化しても、ビジネスの根幹にあるのは「強い意志を持って課題を解決したい」という人間の情熱であるーー、サイオスグループも「情熱を持って社会に新たな価値を提供し続ける」という決意を新たにする、キックオフミーティングとなりました。
福井 俊平氏 プロフィール
アーキタイプベンチャーズ株式会社
Managing Partner
NTTデータにて公共・金融分野のシステム構築に従事した後、現職。
B2B Tech領域を中心に、数多くのスタートアップの投資・育成に携わる。