
サイオステクノロジーが、株式会社朝日新聞社と株式会社リコーが共同で行う新たなメディア配信ビジネスのシステム開発を担当した。明治12年に創業し、新聞一筋に歩んできた朝日新聞社は、本格的なネット社会を迎えた今、新聞を中心とする総合的な情報メディア企業へのさらなる一歩を踏み出している。その取り組みの一つが、「News Plaza」事業。
これは、ネット環境とデジタル複合機を活用し、従来の新聞流通の考え方を拡張する新たなメディア配信ビジネスである。この配信サービスのシステム基盤に、クラウドサービスである Google App Engineを採用。サイオスの高い技術力で短期間でのカットオーバーを実現させた。
| 会社名 | 株式会社朝日新聞社 |
|---|---|
| 設立 | 1879年1月 |
| 資本金 | 650百万円 |
| 所在地 | - |
| 業種 | 新聞・出版業 |

朝日新聞社
製作本部システムセクション 兼 社長室員
古屋 武史
News Plazaは、朝日新聞社の卓越した情報力によって制作されたコンテンツを、リコーの顧客に配信し利用者がデジタル複合機(MFP)に出力できるサービス。そのサービスと、Google App
Engine採用の背景について、システムの開発に携わった社長室の古屋武史氏は、次のように振り返る。
「ネットワーク化された複合機を情報端末の一つに位置づけられるのではないかと両社で検討し、今回のプロジェクトを立ち上げることになりました。国内はもとより、世界各地でオフィスを中心に数百万台が使われている複合機の特性を生かし、お客様が必要な情報をオンデマンドで印刷するというわかりやすい仕組みを、GAEという最先端のクラウド技術で支えることはこのプロジェクトの一つの特徴であると考えています」
News Plazaによる配信サービスを契約した企業は、定期的に朝日新聞社および協力新聞社からインターネットを経由して送られてくるコンテンツを受け取る。
「この事業は、我々にとって新たな配信プラットフォームの模索につながる重要な取り組みだと受け止めています。システムの開発において課題となったのは、柔軟なスケーラビリティと安定性、低コストを両立させるための仕組み作りでした。自社でサーバーなどを新たに設置しようとすれば、それなりの初期投資が必要になります。また、このようなチャレンジでは、マーケティングの成果を迅速にシステムに反映させることが必須と考えました」と古屋氏は話す。
「ハードのコスト試算や海外での事例などをリサーチした結果、クラウドサービスを利用する方法を検討し始めました。そうしたなかで、サイオスが書いた書籍「Google App Engine for Java」に出会い、技術力の高さを確信し、サイオスに相談してみることにしました」と古屋氏はサイオステクノロジーを選んだきっかけについて話す。
リコーの国内のMFPシェアはトップであり、需要が高くなればコンテンツを配信するサーバーにも、大きな負荷がかかることが予想された。しかし、新規事業になるため、ハードウェアへの大規模な投資ができる状況ではなく、仮に配信サーバーをインフラが構築した場合、その維持管理などにかかるコスト負担も懸念されていた。
「自動的にスケールアウトするGoogle App Engineを活用することで、契約数が増えても、あわててリソースの追加を検討せずに済むようになりました。サーバーをデータセンターなどに自前で構築する場合と比較して、Total Cost of Ownership(導入、維持・管理に掛かる総経費)を大幅に削減できました。またサイオスの技術力の高さと開発力には、とても満足しています。特に、2か月半という短期間でシステムを稼働できるのも、Google App Engineの特性に精通しているサイオスのエンジニアならではだと思います」と古屋氏は構築されたシステムを評価する。
サイオステクノロジーがGoogle App Engineを利用して開発したシステムは、配信サービスの中核を担うクラウド環境の部分になる。クラウド経由で受信したコンテンツは、PCの専用ソフトによって画面で閲覧したり、リコーのMFPに出力して、会議の資料として利用したり様々な方法で利用できる。デジタルの利便性と紙のポータビリティという二つのメリットを享受できるサービスとなっている。
News Plaza事業によるリコーのメリットについて、グローバルマーケティング本部の竹原健氏は次のように話す。
「News Plazaは、朝日新聞社様との協業によって実現できたリコーにとって新しい分野のサービスで、私どものデジタル複合機をご利用頂いているお客様に新しい価値を提供できるものと信じています。当初はデジタル複合機に直接コンテンンツを配信し自動で印刷される仕組みで検討していましたが、実証実験を行い、実際のお客様の声を反映して、印刷する前にパソコンの画面で確認し印刷するなどの改良を加えました。今回、サイオスとシステムの開発をご一緒させて頂いて感じたのですが、サイオスは優秀な技術者がいらっしゃって、すばらしい会社だなと感じました」
News Plazaによって配信されるコンテンツは、朝日新聞社が独自に制作したものだけではなく、協力関係にある専門紙や通信社からの情報も取り扱っているという。
「今回のサービスは、単に新聞として配達していた仕組みをインターネット経由にしたというものではなく、オフィスにおけるMFPを活用したコンテンツ配信のインフラを提供するものだと考えています。コンテンツの内容や利用方法の充実に加え、多くの協力関係を構築していくことで、新たなインフラとして成長させていきたいと計画しています。今後のクラウドコンピューティングの活用においてもサイオスには大いに期待しています」と古屋氏は将来に向けた展望を語った。
株式会社リコー
グローバルマーケティング本部 ビジネスディベロップメントセンター クラウドコンピューティング事業推進室
開発Gスペシャリスト
竹原 健 氏